OEMとは?
OEMとは、ファッション・アパレル業界の企業・ブランドの自社ブランド製品の製造委託を担う業種です。自社工場を持たないブランドや企業などが商品企画までを行い、OEMは指定された素材やデザインで、依頼元の企業・ブランド名義の商品の生産を行います。
OEMは略語で、正式名称は「Original Equipment Manufacturing」、または「Original Equipment Manufacturer」です。
「委託者のブランドによる生産(者)」と訳され、「OEM生産」や、「OEM企業」などといった使われ方をします。
OEMはファッション・アパレル業界だけでなく、自動車や家電はもちろん、食品など様々な業態でも利用されています。
販売ブランドが流通業の場合、「PB(プライベートブランド)」と呼ばれることもあります。
OEMはODMと混同されがちですが、デザインなどの「企画段階から生産まで」を担うのがODM、ブランドなどから「生産を依頼され生産を行う」のがOEMとなっており、業務のスタート地点で見分けることができます。
参考記事
・ODMとは|アパレル業界業種ガイド
委託側としては、自社工場を増やさずに多くの製品を調達することが出来るというメリットや、開発費用や販売先の開拓をする必要がないというメリットなどがあるため、その相互関係がOEMとの間に成り立っています。
OEMの代表的な企業
マツオカコーポレーション
広島県福山市に本社を置き、中国、バングラデシュ、ミャンマーなどにも縫製工場を持っています。
従業員数は約1万人、年間の生産量は約8000万枚の日本最大手の縫製企業です。
ファーストリテイリング(ユニクロ)などと強固な顧客基盤を作り、アパレルOEM世界ランキングにも入っています。
他に先駆けて1998年に国内の工場を完全に閉鎖し、製造に関わる部分は海外の工場が中心となっています。また、政府が全戸を対象に2枚ずつ配布したマスクの納入事業者の一つでもあります。
株式会社小島衣料
岐阜を本拠地とし、中国、香港、バングラデシュ、ミャンマーに現地法人を持っているOEMです。
ファッション・アパレル業界では生産拠点の海外移転を先駆けで進め、現在では海外のスタッフは5000人を超えている、女性用アパレル縫製においては国内大手の縫製企業です。
オンワード樫山、ワールド、三陽商会などの、有名メーカー商品の製造を担っています。大手アパレル向けに培ってきた縫製の技術を生かし、「一般医療機器」として認可されたパジャマの製造も話題となっています。
OEMの業務内容
ファッション・アパレル業界の中では、川中産業として服の生産を担うOEMですが、具体的な業務内容はどんなものなのでしょうか?
営業
OEMは既存のクライアントをはじめ、これからニーズのありそうな企業へ向けて営業を行います。
自社の過去実績を元に提案をしていきます。OEMの代表企業にあげたマツオカコーポレーションでは、商談時からサンプルを作成し、即日納品も可能にしているようです。
受注・素材調達
OEMはブランドなどの依頼主から、受注をとります。その後企業からロゴなどのデータを預かり、サンプル作成を開始します。
大手からの依頼の場合、サンプル数が1日に300枚にもなることもあるそうです。
素材の調達や、工場のスケジューリングなども業務の一つです。
生産・納品
納期の調整や、仕上がりの確認が完了後、生産へ入ります。海外工場をもつOEM企業も多く、国を跨いでの連携が発生する場合があります。
OEMで働くやりがいとは
下請け業者とも言われるOEMは、一見すると業務工程はシンプルに見えます。だからこそ、生産のプロフェッショナルとして、確かな技術を求められています。
そんなOEMのやりがいについて、解説していきます。
有名ブランドの商品に関われる
OEMの一番わかりやすいやりがいとしては、自分の関わった商品が、世の中に流通することがあげられます。特に自分の好きなブランドの生産を請け負った場合、強くやりがいを感じられるのではないでしょうか。
生産に関する幅広い知識や経験を培える
OEMは日ごとに違うものを作ることもあり、確実な品質を保った商品づくりを求められます。
OEM企業の中でも、アパレル営業やファッションデザイナー、パタンナーなど様々な職種がありますが、どのポジションにおいても、モノづくりに関する幅広い知識や経験が求められます。
ファッション・アパレル業界を川中で支える
OEM企業は、川上に位置するブランドなどのクライアントを支え、川下にあるショップや百貨店などへ商品を繋ぐことで、ファッション・アパレル業界を支える重要な役割です。
生地やボタンなど、パーツ毎に様々な人が関わっていることを実感でき、商品に対する責任感を持てるため、プロフェッショナルとしてのやりがいを感じるのではないでしょうか。
OEMで働くために求められるスキル・素質
OEMの中でも様々あり、企業特性や職種によって細かな適性は変わりますが、OEM独自に求められる適性について説明していきます。
提案力
商品企画を行わないOEMですが、発注された商品を生産するだけでは付加価値が低いため、企業独自のアプローチも必要です。
生産の初期段階で商品が切り替わったり、中止になることも少なくありません。
新規開拓の難しいOEMでは、商品企画を考えてクライアントへ提案する企画営業という職種が重要視されつつあります。
柔軟な対応
トラブルの多い生産現場では、納期が遅れるような事態も想定されます。商品が届かない場合や不良があれば、代替品を探したり、生産計画の見直しをする必要があります。
また、納品した商品に問題があれば、修理・検品先を探したり、時には自分で作業することも考えられます。なので、OEMで働く際にはそのような柔軟な対応が求められます。
先を見据えた計画性
確かな品質を保ったまま、コストを抑えて効率よくモノづくりを行うことがOEMとしてのミッションです。OEMのどの業務においても、スピード感を保つためには先を見据えた計画が必要になります。
OEMで働くために必要/有利な資格
OEMに就職するために絶対に必要とされる資格やスキルはありません。企業や職種毎の応募資格を満たしていれば、応募は可能です。
その後のOEMの選考時に有利になる資格についていくつかご紹介します。
ファッションビジネス能力検定
ファッションビジネス能力検定とはマーケティングや流通、マネジメント、基礎知識まで幅広く学べる資格です。アパレル営業などを目指している方には取得をおすすめします。
【応募サイト】
ファッションビジネス能力検定
ファッション色彩能力検定
ファッション色彩能力検定では、色彩に関する理論を学べる資格です。ファッションデザイナーを目指す方には、トレンドをおさえた商品作りの為におすすめです。
【応募サイト】
ファッション色彩能力検定
パターンメイキング技術検定
パターンメイキング技術検定とは、主にパタンナーを目指す方や、パタンナーとして仕事に従事している方が、就職やスキルアップのために受検する専門的な検定です。
【応募サイト】
パターンメイキング技術検定
衣料管理士
衣料管理士(テキスタイルアドバイザー)とは、繊維製品について、素材や生産・流通・消費などの分野を体系的に学ぶ資格です。商品企画をはじめとした、衣料品生産現場での活躍をしたい方におすすめです。
【応募サイト】
衣料管理士
TES繊維製品品質管理士
「基礎科目3教科」と消費者苦情に関する記述試験「事例」、「論文」の5教科を3年間かけて合格すると取得できる資格です。名刺にも記載できるため、品質管理に関する知識をアピールできます。
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