Tシャツの生地に使われる糸には「空気紡績糸」と「リングスパン糸」の2種類の糸があります。
● 空気紡績糸(オープンエンド糸)
空気の力を使って繊維を撚り合う構造になっているので、繊維の間に空間があり適度な空気を含んでいます。
オープンエンドの糸はふっくらとしており、ボリューム感がある一方で、ドライでザックリとした硬い風合いで、リングスパン糸の綿100%の糸に比べて、吸汗速乾性に優れています。
アメリカでは数多くのTシャツに使われています。但し、耐久度に関してはリングスパン糸の方が高いといわれております。
● リングスパン糸
撚り糸のことです。ロープ作るように綿が撚ってある糸です。
特徴としては、洗濯にも強く、オープンエンド糸で作ったTシャツと比べるとしわにもなりにくく、仕上げでコーマ通しをして紡がれた糸は、毛羽が少なく艶の良いものになります。
日本産や中国産の糸はリングスパン糸を使用することが多くなっています。
※“コーマ”とは(combing=櫛通し)の意で、綿花にコーマ通しを行うことで、綿花の中の未成熟な部分を取り除き、良質な部分だけで糸を仕上げることができます。
一方、「カード糸」、この櫛通しの工程がないので糸に毛羽立ちがあり、コーマ糸に比べ、色艶やしなやかさが無く品質的には劣りますが、その分コストが安くなります。
国内で販売されているTシャツはどちらかというとこちらの糸を使用したものが主流です。
Tシャツを選ぶ際に何を見るかというと本体のデザイン、プリントのデザイン、生地、首周りなどですかね。
ではオリジナルTシャツを作るときにボディを選ぶとすると、形、色の要素もあると思いますが、最初はプリントがされていませんから、生地が一番気になるところではないでしょうか?
やはり最初にチェックするポイントではないかということで、今日は生地について簡単に話します。
市場に出ている生地で一番ポピュラーなのが天竺生地ですが、天竺生地でも糸によって風合いが違ってくるので、大きく2つに分けられます。
(1)リングスパン糸天竺と(2)オープンエンド糸天竺です。
ちなみに、弊社で扱っている商品で最も販売数の多い商品「OE1116」は、
(2)のオープンエンド糸です。
なにが違うのかというと簡単に言うと、糸の撚り方が違います。そのため生地の風合いが違ってきます。
(1)は、グンゼの肌着を代表する昔から着られて来た日本市場にずっとある生地です。
糸に毛羽立ちがないので、表面が比較的にツルっとしています。糸を雑巾を絞るように外側から力を加えて捻じって撚ります。それに対して、(2)は、綿菓子を作るときのように、空気の力で綿を糸状にする紡績方法で作られて糸で、糸に毛羽立ちがあり、ざらっとしています。
特徴としては、(1)のリングスパン糸は面がつやつやしていて、肌触りが良い。但し、糸の種類によって、つやが変わってきます。コーマ糸を使用しているとかなりつやがあります。
(2)のオープンエンド糸は中に空気が含まれているので、汗を掻いたときに肌にべたっと着きにくくさらっとしていて、乾きやすいです。 デメリットとしては、生地は少し硬い感じがします。ソフトな着心地を求める方には受け入れづらいですね。 なので、一般的なレディースTシャツでオープンエンド糸が使われることは少ないです。
また、アメリカ国内でメインに使われている糸ということで、アメリカンカジュアルTシャツのテーストの象徴となっています。
私が個人的に、過去に着たTシャツの生地良かったと思うのは、リングスパン糸を使った32番の双糸(32/2)の天竺生地ですね。
今でも、家にあります。本当に良いんですよ。
糸は双糸なので、それなりに太いのでしっかりしていながら、きめ細かく、洗うほどに生地が多少縮んで、しまるのでさらにしっかりしました。 実は私がメーカー時代にサンプルで作って定番化されなかったものをもらったものです。
実際には、32/2天竺のTシャツはあまり売られていません。定番化されなかった一番のネックはコストが高いことだったんですよ。
次に好きなのは16/-天竺のオープンエンド糸のOE1116 ですね。市場はライトウェイトに人気が移行しているようですが、私はこのベビーウェイトで、程よく堅い、この生地の風合いが好きです。
洗うほどに糸が詰まって、いい感じになりますよ。
糸としては、リング糸のほうがしっかりと撚りが掛けられているので強度が強く、柔らかさがあることから、高級とされています。ちなみにヨーロッパ市場はリングスパン糸を使った綺麗めな生地が主流です。Tシャツを選ぶポイントは人それぞれですね。
Leave A Comment