競馬における勝負服(しょうぶふく、英:racing colours, racing silks)、あるいは服色(ふくしょく[1])とはスポーツウェアの一種であり、競走に出走する馬(競走馬)に騎乗する騎手が、競走中に各馬を所有する馬主あるいは騎乗中の騎手、そして馬そのものの識別のために着用する上着のことである。なお、「勝負服」は通称であり、日本の競馬法および日本中央競馬会競馬施行規程(以下、施行規程)などの関係法令等(以下、関係法令等)上は「服色」として規定されている。
服色は馬や騎手ではなく、馬主に帰属するため(日本の地方競馬など一部の例外を除く、後述)、同一競走に同じ馬主の所有馬が出走する場合、同じ服色の騎手が複数騎乗することもある。また、競走馬の馬主が何らかの事情で現役途中に変更となった場合も、勝負服は変更となる。
近代競馬が英国ではじまり、18世紀半ばごろから、馬主が自身の馬が競走中どこを走っているか見やすいように騎手に着せたのが始まりとされている[3]。
同時期にのちに長く英国の競馬を統括することとなる馬主の団体、ジョッキークラブが成立すると、いくつかの統一基準となる指示が出されることとなるが、1762年にはその2番目の指示として、”second ordar”と通称される次の通達が出された。
機能・素材[編集]
服色それ自体は馬の識別を目的とした地色と柄(服色に使用される柄のことを関係法令等では「標示」と称する[2]。以下、柄のことは特記ない限り「標示」とする。)からなり、騎手を落馬等による負傷などから守る機能や、冬季における防寒機能はない。このため騎手はプロテクターや防寒着などを負担重量の範囲内で別途着用した上で、その上から服色を着用している[5]。
素材は18世紀当時は存在した他の繊維と比べ比較的軽量で丈夫な絹をサテン生地として用いていた。このことから、今でもアメリカ英語における服色を表す単語は、'(racing) silks’である[6]。その後はナイロンなどの化学繊維が台頭したことで、化学繊維のサテン生地が用いられるようになった。
現在ではサテン生地の服色は空気抵抗が大きいこともあり[3]、生地自体に伸縮性を持たせて、体に密着し風の抵抗を受けにくくした服色が主体である。その素材としては、ポリウレタン系素材のスパンデックス(ライクラ)などが用いられる[6]。一部では現在でも絹を用いている[7]。
日本においても、特に素材に規則はない[8]。当初は絹、昭和30年代以降は変色のしにくさから化学繊維に置き換わり[7][3][8]、現在では伸縮性生地を用いた服色がおよそ8割を占める[3]。一方で、サテン生地の服色も空気抵抗を軽減する改良を重ねながら、一部の伝統を重んじる厩舎・馬主が用いている[3][9][10]。近年では夏場の通気性向上と軽量化を狙ってメッシュ素材としたものも登場している[9][3][7]。
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