ふんわりと柔らかく、気持ちの良い肌触りが魅力的な「パイル」。私たちが毎日使うタオルもそのひとつですが、洋服や雑貨としても幅広く重宝されている生地です。そこで今回は、パイルの持つ特徴をご紹介していきます。
パイルとは?
パイルとは、生地の片面、もしくは両面に「丸いループ状の糸」が織り出してある生地のことをいいます。この丸いループ状の糸のことを英語で「パイル(pile)」と呼ぶのが生地名の由来です。
パイル織物には大きく分けて2つ種類があり、ループ糸の加工方法によって生地が変わります。1つ目は、ループ糸をそのまま仕上げたもので、これを「ループパイル」と呼びます。 タオル生地がもっとも有名ですが、スウェットなどの裏毛生地もこのループパイルになります。2つ目は、ループ糸の先端をカットして仕上げたもので、これを「カットパイル」と呼びます。 ベロア、コーデュロイなどの洋服で多く使われるのは、このカットパイルになります。
パイルの特徴
パイルは織地の素材と、ループ糸の素材を変えることが可能なため、さまざまな特徴を持った生地を作ることが出来ます。また、ループパイルとカットパイルで多少の違いはありますが、今回はパイルの基本的な特徴をご紹介します。
特徴1:柔らかな肌触り
パイルはループ糸にクッション性があるため、包み込むような柔らかな肌触りが特徴です。また正しく洗濯をすれば、ふんわり感がすぐに失われる事はないので、長く気持ちよく使うことができます。
特徴2:吸水性に優れている
パイルは平面的な織物にくらべて表面積が広いため、吸水性が高いのも大きな特徴です。また、パイルは両面・片面どちらでも作ることが出来るので、タオルはより水分を吸いやすい両面パイル、衣類は汗を吸いやすいように肌に触れる側だけを片面パイルにするなど、用途に合わせて使い分けることもできます。
特徴3:弾力性がある
パイルは生地面がループ糸で覆われているので、ふわふわとした独特の弾力性があります。また、この弾力はパイル部分のクッション性によるものなので、厚地でも比較的軽いというのもパイルの特徴のひとつです。
特徴4:オールシーズンで使える
パイルは柔らかく吸水性に優れているため、夏の生地として重宝されてきました。一方で、生地の厚さや素材を変えることで、保温性を高めることも出来るため、いまではシーズンに合わせた利便性の高いパイル織物がいろいろ作られています。
パイルの取り扱い上の注意
先ほどお伝えしたとおり、パイルには「ループパイル」と「カットパイル」があり、それぞれで注意すべき点があります。
まずループパイルですが、爪や突起物にパイルに引っかかって糸が飛び出してしまう「パイル抜け」があります。これは気を付けていても、防ぐのがなかなか難しいです。もしパイル抜けがおきてしまった場合は、放っておくとどんどん糸が出てきてしまうので、飛び出した糸をカットして処理しましょう。
次にカットパイルですが、摩擦に弱い点があげられます。こちらもパイル抜け同様、摩擦を防ぐことは難しいので、どうしても部分的にテカリは出てしまいます。ただし、強く擦ることによるパイル抜けは防ぐ事ができるので、注意するようにしましょう。
仕立てるのに向いているアイテム
パイルは柔らかな肌触りと吸水性に優れているため、ベビー・キッズ用品にぴったりの生地です。コーデュロイを使った大人服など、他にもいろいろおすすめがありますが、今回はベビー・キッズ用のアイテムを中心にご紹介します。
タオル・おくるみ
定番ですが、タオルは欠かせないアイテムです。両面パイルで毛足が長い生地を選べば、洗濯を重ねてもふんわりと柔らかく、大人から子供まで気持ちよく使うことができます。また、子供用のおくるみにもパイルはぴったりの生地です。引っかかりによるパイル抜けを防止するために、片面パイルを選ぶと扱いやすくて便利です。
スタイ
パイルは吸水性に優れているため、スタイにもおすすめです。タオルと同じように、洗濯も気軽にできるので、よだれや汚れを気にせず使うことができます。素材は扱いやすいコットンパイルを選ぶと良いでしょう。
ロンパース・カバーオール(ベビー)
汗をたくさんかく赤ちゃん用のロンパース・カバーオールにも、パイルはぴったりの生地です。夏用には軽くて着やすい薄地のパイル、冬用には保温性を重視した厚地のパイルで、おくるみと同様に扱いやすい片面パイルがおすすめです。
パジャマ(キッズ〜大人用)
子供から大人まで使える、セットアップのパジャマも定番のおすすめアイテムです。ループパイルもいいですが、より肌触りが気持ち良い両面カットパイルを使えば、スウェットのようなカジュアルさが抜けて、上品で可愛いパジャマが作れるはずです。
パイルのお手入れの仕方
まずは第一に、使用している素材によって扱い方が変わるので、品質表記は必ずチェックしてからお手入れするようにしましょう。特にベースの生地がコットンでも、ループ糸の部分にリネンやウールを使っているパイルもあるので、注意してください。
洗濯機で洗う時の注意点としては、洗濯中の「引っかかり」と「摩擦」があります。タオルなどの日用品であれば、特別気にする必要はありませんが、大切な衣類などは必ず洗濯ネットに入れるようにしましょう。また、水量が少ないと洗濯物同士の摩擦が多くなってしまうので、水は多めだとより安心です。
次に柔軟剤ですが、多く入れすぎてしまうと逆にゴワゴワした仕上がりになってしまいます。パイルには柔軟剤を使わない方も多いですが、必ず適量を入れるようにしましょう。最後に乾燥方法ですが、パイルは吸水性に優れている素材なので、しっかり乾燥しないと臭いの原因となってしまいます。乾燥機を使用しない場合は、洗濯が終わったらすぐに取り出して干すようにしましょう。
パイルを使ったソーイングといえば、やはりベビー・キッズ用品がおすすめです。小さい頃はスタイやおくるみ、大きくなったらパジャマやプール用のタオルなど、成長に合わせていろいろなアイテムに使える生地なので、ぜひ参考にしてみてください。
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